【戦術解説】フォーメーション編 第4回「3-5-2」

戦術

まえがき

今回の戦術解説も、「フォーメーション」編の続き。

4回目は前回「4-4-2」を取り上げたので、これしかないやろ。永遠のライバル「3-5-2」。

「3-5-2」の特徴

「3-5-2」の基本ポジション

スタートの立ち位置はこうなる。

DFは3バックで、中盤は中央に3枚のCMF、両翼にWBの5枚と、2トップという布陣。

中央の3枚が1ボランチの場合は「3-3-2-2」や「3-1-4-2」、ダブルボランチの場合は「3-4-1-2」と呼ぶ場合もある。

DFが3枚のため、4バックに比べて一見攻撃的に見えるが、実際はWBがディフェンスラインに落ちて5バック化して守るため、守備的なフォーメーションといえる。戦力的に劣る方のチームが選択することが多い。

「3-5-2」のメリット

「3-5-2」の長所。

  • 中央で数的有利を作りやすい。
  • プレッシングによるショートカウンターがかけやすい。
  • CBが3枚となるため、中央の守備が固い。
  • 役割分担がはっきりしており、ポジションがとりやすい。

中央の人数が、2トップと3枚のMFで5枚となり、「4-4-2」の2トップと2枚のMFの4枚に対して、数的優位を作れるため、中央突破が可能となる。

また中央に人が密集しているので、奪われた瞬間にプレッシングをかけやすく、前線で奪ってショートカウンターという効率的な攻撃ができる。

また強いCBが3人いれば同時に起用できるため、中央の守備が非常に固くなる。

そして「3-5-2」の最大のメリットは、ポジションの取りやすさ。

このように最初の立ち位置が5レーン(ピッチを縦に5等分したエリア)にきれいに立てるため、選手間のエリアの被りがなく、担当エリアの役割分担がはっきりしている。そのため複雑なポジションチェンジなどの戦術を浸透させる必要が高くないため、一芸特化型の選手でも起用しやすい。

「3-5-2」のデメリット

「3-5-2」のデメリットは一目瞭然、「サイドの数的不利」。

  • サイドで数的不利を作られやすい。
  • WBが殺人的な運動量を求められる。
  • 2トップが孤立しやすい。

サイドにはWBしかいないため、サイドを1人でカバーしなければならず、数的不利となる局面を多く作られてしまう。このため、カバーに入るSHやボランチも相当の運動量を強いられる。

また相手が4バックの場合、WBが1人でSHとSBをケアしなければならないため、SBのマークが不明瞭になりやすい。

また守備で押し込まれると5バックとなり、SHまで守備に回ると、前線で2トップが孤立してしまう光景がよく見られる。

後ろが重たくなりすぎないよう、SHかWBのいずれか1枚は高い位置をキープし続けるなどの工夫が必要となる。

相手フォーメーションとの相性

最初の立ち位置の組み合わせでの、相手フォーメーションとの相性の良し悪しはこんな感じ。

【相性の良いフォーメーション】 

  • 「4-4-2」
  • 「4-3-1-2」

「4-4-2」には中央で数的有利となる。ただし陣形をコンパクトにされ、中央を固められると攻め手がなくなる。

「4-3-1-2」など、2トップとトップ下のフォーメーションには、3バックがマークしやすく相性が良い。

【相性の悪いフォーメーション】 「4-1-2-3」「4-2-3-1」

「4-1-2-3」「4-3-3」「4-2-3-1」など、サイドに人数をかけられるフォーメーションには、サイドで数的不利を作られやすく、相性が悪い。

「3-5-2」を採用しているクラブ

2022シーズンは「柏レイソル」と「湘南ベルマーレ」が基本フォーメーションとして採用していた。

いずれも「3-1-4-2」と、両WBを高い位置に押し上げて、より中盤でプレッシングをかけてショートカウンターを仕掛けやすくなるスタイル。

柏の場合は、負担のかかる1ボランチに、椎橋という戦術理解の高い選手がいることも大きかった。

まとめ

一昔前まではフォーメーションといえば「4-4-2」と「3-5-2」のどっちか、みたいなイメージがあったが、「3-5-2」は明らかにサイドに問題があるフォーメーションのため、採用するチームは少なくなっている。

ただ運動量のある選手が多ければ、激しくプレスをかけて奪ってショートカウンターという効果的な攻撃ができるため、予算規模の限られる中位以下のクラブには向いているといえる。

2022シーズンのガンバでも、昌子、三浦、ギョンウォンと強力なCBが3枚揃っていたため、3バックには何度かチャレンジしていたが、明らかに後ろに重たくなっており、正直良い印象は持てなかった。実際3バックの勝率は、2勝3分7敗と散々。あかんやん。

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