【ガンバ大阪】シーズン振り返り 2018-2021 宮本監督の挑戦

チーム

2023シーズンのガンバは、J2徳島からポヤトスを招聘した。

スペイン人らしく「4-1-2-3」をベースに「ポゼッション」重視の戦術を得意とする監督で、近年リアクションサッカーで苦しんでいるガンバの救世主となれるか、大いに期待したい。

ここで気になるのは、同じように「ボールを支配するアクションサッカー」に挑戦したが、無残にもコロナ禍によって夢半ばで挫折した2021シーズンの宮本ガンバ。あの活動休止期間が無ければ、どんな未来が待っていたのか。ちょうどいい機会なので、宮本監督の挑戦を振り返ってみる。

2018シーズン 突然の監督就任

就任までの経緯

三冠という偉業を成し遂げ、ガンバに2度目の黄金期を築いた長谷川監督が2017年に退任。

そのあとを引き継いだのは、何を血迷ったのかピンクで名将といわれていたレヴィー・クルピ。おそらく世代交代の意図があり、若手育成に定評のあったクルピを招聘したと思われる。

しかし既に64歳となっていた老将に、進化する戦術をアップデートして群雄割拠のJリーグで再び戦う意欲と情熱などあるはずもなかった。のんびりキャンプを過ごし、いざ開幕するや深刻なボランチの人材不足に悩まされ、あわててブラジルから教え子のマテウスを呼び寄せるも、守備の不安定さは解消せず、4勝3分10敗の16位という散々な成績で解任となった。

この2度目の降格の危機に救世主となるべく指名されたのが、当時U-23を率いていた宮本恒靖である。

成績

就任後も2分1敗と調子は上がらず、迎えた21節ホームFC東京戦。1点先行するも後半追いつかれ嫌なムードが漂うなか、終了間際にアデミウソンが決勝ゴールを叩き込み劇的な勝利を挙げる。ここから守備を整備し、前線のファンウィジョとアデミウソンの強力な2トップを生かして、25節の川崎戦から怒涛の9連勝を達成する。最終戦の柏戦には敗れたものの、就任後は10勝3分4敗と劇的にチームを立て直し、9位でフィニッシュとなった。

戦術とフォーメーション

クルピの放任で崩壊寸前になっていた守備を立て直すため、「4-2-3-1」から「4-4-2」へ変更。

J2山口から小野瀬を補強し、倉田とともにSHに起用。その運動量を生かして前線の守備を整備し、ファンウィジョ、アデミウソンの2トップで破壊力のあるカウンターを仕掛ける戦術。

この手堅い戦術が功を奏し、守備が安定。東口を中心とした守備陣の奮闘もあり、9連勝のうち1点差がなんと7試合と、接戦をものにして勝利を積み重ねた。

  • フォーメーションは「4-4-2」。SHの運動量で圧倒。
  • ファンウィジョが無双。小野瀬の補強が大当たり。

2019シーズン エースの移籍

成績

序盤は前年の「4-4-2」を継続するも、守備強度が上がらず、得点は取れるが大量失点の試合が続き、序盤で2勝2分7敗と大きく出遅れてしまう。

迎えた12節の大阪ダービーで、宮本監督は大きな賭けに出る。システムを「3-3-2-2」へ変更し、高江、高尾、福田と若手を抜擢。前線からの積極的なプレスで主導権を握ると、ガンバサポ歓喜の瞬間「倉田の右足だぁぁぁぁー--」!

ここから3バックを継続してチームが復調の兆しを見せたところで、ここまで得点を量産していたファンウィジョが、フランス/ボルドーへ移籍することとなった。

このピンチを救ったのが、3冠の立役者、宇佐美とパトリック。ファンウィジョと入れ替わるようにチームに復帰すると、即チームをけん引し、後半を6勝6分3敗と、またしても巻き込まれた残留争いから早々に抜け出した。最終順位は12勝11分11敗の7位。

戦術とフォーメーション

大阪ダービー後は「4-4-2」から「3-3-2-2(3-5-2)」へスイッチ。

序盤の失点癖に対応するため3バックにして守備をテコ入れし、攻撃では中央からの崩しと、前線からの積極的なプレスによるショートカウンターを狙う戦術へ転換した。

奪って、両ワイドの走力を生かしてクロス、中央でパトリックが落として宇佐美が決める、と攻撃パターンが整理された。一方WBの裏を狙われ、失点も多く、2018シーズンと比べると撃ち合いとなる展開が増えた。

  • フォーメーションは「4-4-2」から「3-3-2-2」へ転換。
  • プレッシングからのショートカウンター。

2020シーズン さらなる進化へ

成績

2020シーズン、宮本監督は「ハイプレス」というテーマを掲げ、激しいプレスで前線でボールを奪い、最短距離でゴールに向かう、縦に早いサッカーを目指した。

開幕のマリノス戦ではこの戦術がはまり、開始早々に前線のプレスから相手のミスを誘い、前半で2点のリードを奪う。後半1点返されたものの、前年王者相手に見事な白星スタートとなった。

しかしこの幸先良いスタートにコロナが水を差す。3ヶ月の中断を余儀なくされ、夏場の過密日程の影響もありチームの勢いもペースダウン。やむなく「3-3-2-2」から従来の「4-4-2」のフォーメーションも戻して、現実的な戦いに切り替えた。

今シーズンから加入した昌子を筆頭に、三浦、キムヨングォン、そして東口の強固なセンターラインを軸に、宇佐美、パトリックの個の力で奪った得点を守り抜く、得意の手堅い戦術で接戦をものにし、20勝5分9敗の安定した成績で2位、4年ぶりのACL圏内でのフィニッシュとなった。

戦術とフォーメーション

シーズン序盤は、前年の「3-3-2-2」をベースにハイプレスからのショートカウンターを指向。

しかしコロナ中断期間によるコンディションの低下と、夏場の過密日程の影響もありハイプレスの頻度も低下。昌子の復帰もあり、従来の「4-4-2」へ戻して、安定した守備からのカウンター戦術へと移行する。

終わってみれば、2018シーズンの終盤の9連勝時と同じ戦い方。前線の個の力を生かしてもぎ取った点を守り切るリアクションサッカーとなってしまい、結果として新しい戦術の積み上げは得られなかった。

  • フォーメーションは「3-3-2-2」から「4-4-2」へ回帰
  • 「ハイプレス」を掲げるもコロナ禍で頓挫

2021シーズン 理想を求めて

成績

2021シーズンのガンバは、4年ぶりのACL挑戦にあたってさらなるレベルアップを目指すべく、「4-3-3」をベースに「ボールを支配するアクションサッカー」への挑戦を開始した。

プレシーズンのゼロックス杯では、川崎相手にゲームを支配する時間帯も作り、結果2-3で競り負けたものの、キャンプからの順調な積み上げを披露した。

初戦の神戸戦は押し込む時間帯はあったが、古橋のカウンター一発に沈み0-1の敗戦。ここでチームを悲劇が襲う。コロナのクラスター感染により、2週間の活動停止。他のチームが実戦でコンディションを上げ連携を深めていくなか、ガンバだけがキャンプの積み上げをリセットされ、一からのスタートとなってしまった。

ガンバのリーグ再開は1ヵ月後。「4-3-3」への取り組みを一旦放棄し、またまた「4-4-2」に戻して勝ち点の積み上げを狙うも、選手のコンディションが戻らない中で深刻な得点力不足に陥り、10試合でわずか3得点。1勝4分5敗の成績では止む無し、宮本監督無念の解任となった。

戦術とフォーメーション

川崎のようなアクションサッカーが念頭にあったか。「4-3-3」は2試合しか披露できず。理想はおそらくこんな感じ。

まとめ

宮本政権は結局4シーズンで終焉となった。

「ハイプレス」「4-3-3」と毎年新しい挑戦を試みたが、コロナ禍の影響をもろに受けてしまい、本当にやりたかったことは貫けなかった印象。以下に功績をまとめてみる。

【ポジティブ】

  • 世代交代。
    遠藤世代→宇佐美世代へ。山本悠樹、高尾など若手を戦力化。
  • 新しいスタイルへの挑戦
    従来のリアクションサッカーから、アクションサッカーへの転換

【ネガティブ】

  • 相手に合わせすぎた戦い方
    理想に現実は伴わず。リアクションサッカーからの転換はならなかった。
  • 攻撃の構築
    守備偏重で、良く言えば手堅いが、最後まで得点力不足に苦しんだ。
  • 適正ポジションでの起用
    小野瀬のWB起用は機能せず。3トップの右で攻撃的に使いたかった。

選手として国際経験も豊かで、リーダーシップに優れ、戦術家の側面もある。

ロッカールームの映像だけで、根性論だけの監督などと揶揄されたりもするが、細かな戦術の落とし込みなど公開できるはずもなく、むしろモチベーターとして優秀といえる。

攻撃の構築など課題は残ったが、ガンバにおいてかけがえのない貴重な人材であることに疑いはない。また近い将来、宮本第2次政権に期待したい。

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