まえがき
戦術解説、「フォーメーション」編は一旦ここまで。
5回目は、2022シーズンの片野坂ガンバの基本フォーメーションとなるかに思えた「3-4-2-1」。いわゆる「ミシャ式」。
「3-4-2-1」の特徴
「3-4-2-1」の基本ポジション
スタートの立ち位置はこうなる。
DFは3バックで、中盤はボランチ、サイドハーフ、ウイングバックが2人ずつの計6枚、そして1トップと、中盤がかなり厚い構成となる。
「3-5-2」とは対照的に、中央に人数をかけ相手を押し込むことを目的とした攻撃的なフォーメーション。
「3-4-2-1」のメリット
「3-4-2-1」の長所は攻撃面に多い。
- 中央で数的有利となる。
- 相手陣に人数が多いため、攻撃で押し込みやすく、守備の切替時もプレスがかけやすい。
- DFからのパスコースが多く、ビルドアップしやすい。
1トップ、2シャドーとダブルボランチの5人が中央に密集しているので、中央で数的有利となり、中央からの崩しが可能となる。
また攻撃時はWBが高い位置を取るため、相手陣内に人数をかけて押し込むことができる。またボールを奪われた際も、すぐに人数をかけてプレッシングができるため、奪ってショートカウンターにつなげやすい。
「3-5-2」と同様、スタートポジションで5レーン(ピッチを縦に5分割したエリア)に均等に立てるので、DFラインからの斜めのパスコースが自然と多くできるため、スムーズなビルドアップができる。
「ミシャ式」の場合は、攻撃時に「4-1-5」へと可変し、さらに攻撃的なフォーメーションとなる。
ボランチが1枚アンカー落ちして、CBがワイドへ開き4バック化。両WBが前線まで上がることで、前線に人数をかけて圧倒的に相手を押し込みにかかる。
「3-4-2-1」のデメリット
逆に守備面には課題を抱える。
- WBの運動量が殺人的。
- 前線でプレスがかからない場合、サイドで簡単に起点を作られる。
- 中央に人が多いため、スペースを潰し合うことがある。
サイドをWB1人でカバーしなければならないため、攻守に上下動を繰り返す必要があり、WBにはかなりの運動量が求められる。
また前線に人数をかけている分、プレスがはまらずディフェンシブサードに侵入されると、WBが戻り切れない場合、簡単にサイドからクロスを上げられてしまう。
WBの裏のスペースが常に狙われるため、守備時はWBがディフェンスラインまで戻って「5-4-1」の形になる。
5バックとなり守備は固くなるが、前線に1トップが孤立するため、カウンターに移行してもボールをすぐに奪われてしまい、押し込まれ続ける展開となってしまう。
相手フォーメーションとの相性
最初の立ち位置の組み合わせでの、相手フォーメーションとの相性の良し悪しはこんな感じ。
【相性の良いフォーメーション】
- 「4-4-2」
- 「4-3-1-2」
「4-4-2」には中央で数的有利となる。ただし陣形をコンパクトにされ、中央を固められると攻め手がなくなる。
「4-3-1-2」など、2トップとトップ下のフォーメーションには、3バックがマークしやすく相性が良い。
【相性の悪いフォーメーション】 「4-1-2-3」「4-2-3-1」
「4-1-2-3」「4-3-3」「4-2-3-1」など、サイドに人数をかけられるフォーメーションには、サイドで数的不利を作られやすく、相性が悪い。
「3-4-2-1」を採用しているクラブ
「3-4-2-1」といえばこの人、「ミハイロ・ペトロヴィッチ」。いわゆる「ミシャ式」。
「広島」「浦和」「札幌」と率いたチーム全てで結果を出しており、森安監督、片野坂監督など、信奉者も多い。
ただ打ち合いとなる試合が多く、エンターテイメント性は高いが、中盤がスカスカになるので、常にカウンターのリスクがあり安定性に欠ける。この点がなかなかタイトルまで手が届かない一因か。
まとめ
3バックでは「3-5-2」に代わって、Jリーグでも最も採用されている人気のフォーメーション。
「ミシャ式」ほど戦術の落とし込みができなくても、前線でプレスをかけやすいため、1トップに長身のフィジカルの強い外国人がいれば、ロングボールを放り込んでセカンド拾って、と比較的攻撃の形を組み立てやすい。
ん? これってどっかで見たな。どっかの大阪のチームが、パトリックっていうフィジカルモンスターにひたすらロングボール入れてたやん。何でうまくいかんかったんやろ。。(涙)
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