最近DAZNでもよく見る新しい指標、「ゴール期待値」。
何となく「ゴールする確率」みたいなもんかと思っていたが
調べてみるとこの指標、めっちゃおもろい!めっちゃ使える!
ということで、今回は「ゴール期待値」について解説していく。
「ゴール期待値」とは
定義
ゴール期待値とは「シュートチャンスが、得点に結びつく確率」のこと。
シュートの成功確率を表すので、値が高いほど、得点の可能性が高いことになる。
算出方法
過去の膨大なプレーデータから、全シュートの情報を収集し、期待値を算出する。
具体的には、ゴールへの距離、シュートの角度、タッチ数や、体のどの部位を使ってシュートしたか、などを個々に分析し、AIによって計算している。
目的
では「ゴール期待値」は何のために算出しているのか。
サッカーは不確実性のスポーツであり、選手の能力以外の要素が、結果に大きく影響する。
例えば、天候、ピッチ状態、レフェリーとの相性、サポーターの圧など。
そこで、出来るだけこういった運の要素を排除して、どちらが試合を支配してチャンスを多く作ったかなど、スコアだけでは分からない、実際の試合内容を評価するために「ゴール期待値」を算出している。
「ゴール期待値」=「どれだけゴールに直結するチャンスを作れたか」
といわれても、あまりピンとこない。
理由は「ゴール期待値」単体を眺めてても、あまり意味が無いから。
これを実際の試合結果と見比べてみると、一気に面白さが増してくる。
「ゴール期待値」の活用方法
チームの「ゴール期待値」
まずはチームのゴール期待値をみていく。
チームのゴール期待値が意味するところは
「チームとして、このくらいの点数が入るぐらいのチャンスを作った」ということ。
つまり、ゴール期待値が1.3であれば、1点は入るはず、2点入れば上出来。というイメージ。
チーム成績との比較
2023シーズン 第29節終了時点での「ゴール期待値」ランキング。
より上位のチームが、チャンスを多く作れているといえる。
チーム | ゴール期待値 | ゴール/試合 | 差分 | ポゼッション | 順位 | |
1 | 札幌 | 1.637 | 1.72 | 0.083 | 53.5% | 14 |
2 | 広島 | 1.635 | 1.17 | -0.465 | 50.2% | 5 |
3 | 川崎 | 1.488 | 1.28 | -0.208 | 55.1% | 9 |
4 | 横浜FM | 1.448 | 1.69 | 0.242 | 55.4% | 2 |
5 | 神戸 | 1.376 | 1.72 | 0.344 | 50.5% | 1 |
6 | 湘南 | 1.345 | 1.17 | -0.175 | 48.2% | 17 |
7 | G大阪 | 1.324 | 1.28 | -0.044 | 52.9% | 13 |
8 | 浦和 | 1.259 | 1.17 | -0.089 | 52.2% | 3 |
9 | FC東京 | 1.234 | 1.31 | 0.076 | 48.5% | 10 |
10 | 名古屋 | 1.231 | 1.21 | -0.021 | 43.6% | 6 |
11 | 福岡 | 1.157 | 1.03 | -0.127 | 44.2% | 8 |
12 | 京都 | 1.156 | 1.1 | -0.056 | 46.2% | 15 |
13 | 柏 | 1.13 | 0.9 | -0.230 | 44.8% | 16 |
14 | C大阪 | 1.120 | 1.21 | 0.090 | 51.2% | 7 |
15 | 鹿島 | 1.111 | 1.34 | 0.229 | 47.7% | 4 |
16 | 新潟 | 1.092 | 1.1 | 0.008 | 56.7% | 11 |
17 | 鳥栖 | 1.091 | 1.24 | 0.149 | 49.9% | 12 |
18 | 横浜FC | 1.089 | 0.79 | -0.299 | 46.8% | 18 |
- 期待値を上回る得点力があるのは、神戸、横浜FM、鹿島。
やはり大迫、Aロペス、UMAと、勝負強いストライカーが貢献。 - 逆に残留争いの、横浜FC、柏は、決定力にも問題を抱えていることがわかる。
意外に広島も、決定力不足に苦しんでいる。 - ガンバは、それなりにチャンスは作れており、得点もほぼ期待値通り。
試合ごとの比較
それでは個別の試合ごとに、スコアと「ゴール期待値」を、比較検証してみる。
「ゴール期待値」を見れば、スコアだけでは分からない、試合内容が見えてくる。
スコア通りの試合
2023J1 第17節(H) | G大阪 | FC東京 |
---|---|---|
スコア | 3 | 1 |
ゴール期待値 | 2.273 | 1.524 |
シュート | 16 | 11 |
パス | 355 | 463 |
ボール保持率 | 48% | 52% |
ガンバが試合を支配して完勝。アルベル東京に引導を渡した試合。
ほぼ「ゴール期待値」どおりの結果となっている。
勝ち切れなかった試合
2023J1 第9節(H) | G大阪 | 横浜FC |
---|---|---|
スコア | 1 | 1 |
ゴール期待値 | 2.567 | 0.581 |
シュート | 28 | 11 |
パス | 698 | 349 |
ボール保持率 | 63% | 37% |
宇佐美がシュートを打ちまくるも、ポストに弾かれまくった試合。
ガンバの「ゴール期待値」は、2.567。
つまり、普通にやったら2点は取れてた。なんなら3点取ってもおかしくない内容。
「運が無かった」と考えるか、「決定力不足」と捉えるか。。
いわゆる、内容は良かったのに、、っていうやつ。
耐えて勝ち切った試合
2022J1 第32節(A) | G大阪 | 横浜FM |
---|---|---|
スコア | 2 | 0 |
ゴール期待値 | 1.28 | 3.045 |
シュート | 8 | 25 |
パス | 218 | 821 |
ボール保持率 | 30% | 70% |
マリノスの「ゴール期待値」は、なんと3.045。
どう考えても3点は取られていた試合を、完封。
松田ガンバのベストゲーム。専守防衛のドン引きサッカーで、残留を手繰り寄せた。
- 「ゴール期待値」<「得点」⇒難しいシュートを決め切った。効率よく得点した。
- 「ゴール期待値」>「得点」⇒外しまくった。相手GKが神懸ってた。
- シュート数、保持率などいろんな項目を見なくても、「ゴール期待値」と「得点」を比較すれば、大まかな試合内容がわかる。
選手の「ゴール期待値」
「ゴール期待値」は、選手の特徴を把握するうえでも役に立つ。
ただ残念なことに、JリーグではTOP20しか公表されていない。
2023シーズン 第29節終了時点での「ゴール期待値」のランキング。
選手名 | 所属 | ゴール期待値 | ゴール | 差分 | |
1 | A ロペス | 横浜FM | 13.926 | 19 | 5.074 |
2 | 大迫 | 神戸 | 11.912 | 20 | 8.088 |
3 | ユンカー | 名古屋 | 10.389 | 13 | 2.611 |
4 | 町野 | 湘南 | 9.491 | 9 | -0.491 |
5 | 武藤 | 神戸 | 9.212 | 9 | -0.212 |
6 | レオ セアラ | C大阪 | 9.078 | 11 | 1.922 |
7 | D オリベイラ | FC東京 | 8.419 | 14 | 5.581 |
8 | ジェバリ | G大阪 | 7.992 | 5 | -2.992 |
9 | UMA | 鹿島 | 7.974 | 13 | 5.026 |
10 | 細谷 | 柏 | 7.916 | 12 | 4.084 |
11 | M サヴィオ | 柏 | 6.981 | 5 | -1.981 |
12 | 浅野 | 札幌 | 6.923 | 10 | 3.077 |
13 | 山岸 | 福岡 | 6.809 | 8 | 1.191 |
14 | パトリック | 京都 | 6.761 | 10 | 3.239 |
15 | アラーノ | G大阪 | 6.699 | 7 | 0.301 |
16 | D ヴィエイラ | 広島 | 6.394 | 8 | 1.606 |
17 | 小川(航) | 横浜FC | 6.291 | 6 | -0.291 |
18 | 宮代 | 川崎 | 6.135 | 6 | -0.135 |
19 | 川村 | 広島 | 5.887 | 3 | -2.887 |
20 | エウベル | 横浜FM | 5.724 | 7 | 1.276 |
- 「ゴール期待値」が大きい⇒決定機に絡む回数が多い。
- 「差分」が大きい⇒勝負強いストライカー。今年の大迫は反則。
- ジェバリは、上位陣の中では断トツで決定力不足。。
まとめ
「ゴール期待値」、いかがだっただろうか。
普通のチーム(選手)ならこれぐらい点数が入っているはず、という指標なので
試合結果と比べると、試合を見てなくても
「全然決めれてないやん。シュート下手か!」
「ほとんどチャンス無かったみたいやけど、ワンチャンよう決めきったな。」
「耐えたー。GK神懸ってたんかな。」
こんな感じで、試合内容が何となく想像できて、楽しめるはず。
中断明けからは、「ゴール期待値」という指標にも、是非注目してみて欲しい。
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